この頃、天候も体調も良くありまへんな~
京都へ足を向けられず、うんざりです
部屋でくすぶっていると、ブログに書くこともありませんよ
もう10年以上前の京都の記事ですが再掲しますね
二十歳代の頃、よく京都の町を訪れました。
歴史のかもし出す情緒は心を癒してくれます。
今も心の隅にある思い出は、観光名所や寺社仏閣ではなく京都の庶民の町並みです。
雪の降る日に上賀茂を歩いていると妙な物が目に入りました。
樽の上に長い棒を置き、棒の先にコンクリートの丸いブロックが吊るしてあるのです。
「何だ、あれ?」
「あ、すぐきだ!すぐきを漬けているんだ」
すぐきはカブの一種で、すぐき漬は京都を代表する漬物です。
空から落ちてくる白い妖精に囲まれた、京都ならではの風景に感動しました。
京の街は、お盆を過ぎた8月下旬と雪の季節にロマンの匂いを放ってくれます。
いつの事でしょうか、家族の土産に京都名物の八ツ橋を買いました。
「夕子」という商品名で、包装紙に由来が語られていました。
水上勉の「五番町夕霧楼」を知ったのはその時です。
早速、文庫本を購入して、走るように読んだのを覚えています。
夕子は貧しい家の長女で家族を養うために西陣の色町「五番町」の夕霧楼に遊女として売られ、客の相手をします。
幼馴染で想いをよせる青年僧の正順が金閣寺で修行をしています。
正順は体の障害と寺での抑圧への絶望から金閣寺に放火し自らの命を絶ちます。
肺を患った夕子も正順の後を追います。
悲しい物語で、夕子は想いを語りませんが、強い愛を感じました。
上京区の五番町を歩いたのは暫くしてからです。
1958年に売春防止法が施行され、当時はもう色町ではありませんが、数軒の遊郭だった建物が残っていて、男達の夢の跡を偲ぶことができました。
夕子は小説の中の存在ですが、似通った境遇の女性は少なからずいたでしょう。
色町がなくなると、彼女達は何処へ行ったのでしょうか。
京の街にはこういう歴史もあったのですね。
